以前話題になった「世界インフレの謎」という新書を読んだ。コロナの収束後から世界中で続いているインフレの原因について論じた本である。
この書籍の興味深い点として、序盤でウクライナ危機はインフレの(主要な)原因ではないと主張しているところが挙げあられる。自分は今の世界のインフレは以下の2つが原因と勝手に考えていたため、この主張に非常に驚いた。
・戦争で食糧や資源のコストが高くなったこと。ニュースでもEU各国がロシアからの天然資源輸入量が減ったなどの報道もされていた記憶もあり、余計にそう考えていた。
・コロナで補助金を配りすぎてお金の供給量が多くなり、結果流通量が減ってお金の価値が目減りしたこと。
本書が主張するインフレの主原因は以下の3つであるとのこと。
- 労働力の不足
- 消費者の需要の変化(サービス業への需要が減り、モノの需要が急激に増加)
- 企業間のグローバルのつながりが急減して生産活動が停滞
これらが不足しているため、供給量を増やせば需給の均衡が取れるとされています。しかし、現在の経済学では供給を増やすための有効な施策がなく、需要を減らして均衡を取るしかない。そのため、世界各国では金利を上げて需要を減らす策を実施し、今日のインフレにつながっている。
この本を読んで、ニュースで頻繁に取り上げられているインフレについての理解が深まり、とても有意義な読書経験となった。また、本書では日本がなぜデフレのままなのか、デフレ脱却に必要な要素についても分析しており、そちらも非常に興味深い内容であった。
リンク